ドイツワールドカップを壊した中田さん 小笠原に切れられるヒダ
2005年のコンフェデレーションズカップではとうとうチームメイトがキレた。
メキシコ戦でボランチの位置に入った中田英寿があまりにもオーバーラップするので右MFの小笠原満男はそのカバーリングに追われていた。ハーフタイムに小笠原は中田に詰め寄った。
「もっと守備をしてくれ!」
人間関係の軋轢を嫌うジーコはずばやく仲裁に入り、「あまり前線に上がらないで欲しい」と中田英寿に頼んだが頼まれた側にしてみればフラストレーションの溜まる要求だったのだろう。
コンフェデレーションズカップのブラジル戦前日のミックスゾーンで、中田英寿はいつも以上に不機嫌にこう答えている。
「もう少し積極的に、勝ちにつながるようなプレーをしたいけど、守備のバランスを考えて、それをやりきれないところがある。チームの状態はいいけど、個人としてもっと結果をともなうプレーをしたい」
中田英寿は代表のホテルではルームサービスで食事を済ませることもあったという。
ジーコは食事時間についても「何時から何時までの間に済ませればいい」と自由だったが、規律に厳しいトルシエ時代ならば絶対に許されない行為だった。ジーコは何も言わなかったが、
違和感を憶えるチームメイトも多かった。
ひとりだけミックスゾーンを素通りするというスタイルも、些細なことではあるが反感を買った。
「なんで、あいつだけ特別扱いなんだ?」
普段なら何でもないような雨水でも、地表に小さな傷があると、土はえぐれ、大きな溝へと変化していく。
溝は深まるばかりだった