出場義務契約を盛り込むジャパンマネーの申し子中田さん

〜5月1日〜
     ◎ 中田リベンジ不発でローマ0—0
  ASローマMF中田英寿(23)のリベンジは不発に終わった。セリエA第32節、アウエーで3試合ぶりに出場し、累積警告で出場停止のMFフランチェスコ・トッティ(23)
に代わって指令塔を務めた中田は、バリの守備網を破れないままに後半34分に途中交代。0—0の引き分けに終わった。来季へ向けて存在意義をアピールできず、
ローマも欧州チャンピオンズリーグ出場がかかる4位以内が危うくなった。
 3試合ぶりに立ったセリエAのピッチ。累積警告で出場停止となったMFトッティに代わり、
中田がASローマの指令塔として君臨した。日本代表で、そしてペルージャで慣れ親しんだ「本職」ともいえるポジション。
しかし、セリエA残留へ必死なバリはMFベラビスタをマーク役に指名。「刺客」を放つことで、中田を封じにかかった。
 結果が、何よりも勝利が求められた一戦だった。ベンチを温めている間に、「60%以上の試合出場義務を契約に盛り込んでいた」とイタリア各紙が報道。
「前代未聞だ」と糾弾され、一方では連日のように来季の移籍マーケットに名前が躍った。4月28日には、中田が会見で異例の残留声明を発表。
バリ戦に自らの存在意義をかけて臨んだ。
 1月のローマ移籍後はボランチとの二刀流に挑んできたが、会見では来季のポジション固定も望んだ。明言こそしなかったが、中田が指令塔を思い描いているのは明白。
前半35分にさく裂したFWデルベッキオへの鮮やかなスルーパスはシュートミスに終わり、後半11分の強烈な直接FKはバリGKマンチーニの美技に惜しくもはばまれた。
 刻々と過ぎる時間。遠いゴール。「勝たなければいけない試合だが、バリも必死で来るはずだ。恐ろしい試合になるかもしれない」という試合前のカペッロ監督の予感は、
まさに的中。中田もゴールを演出できずに、後半34分にMFブラージと交代。移籍後9戦連続でアウエーでの勝利を味わえないまま、今季は残り2戦となってしまった。