中田が33億の価値もあるわけない

中田獲得全面否定
アーセナルアーセン・ベンゲル監督(53)が、コメント

 相思相愛だったはずのアーセナルへの道が消滅した。パルマ離脱を切望する孤高の指令塔・中田が、危機的状況に追い込まれた。

 「中田獲得は不可能だ。今のアーセナルに獲得資金はない。トレードでの可能性はゼロではないが、中盤に補強の必要性はない。今年の日本人獲得はあり得ない」。日本vsフランス戦を控えた現地時間20日午前、南仏リヨン市内の最高級ホテルで、ベンゲル監督が中田獲得を完全否定した。

 アーセナルは2年前、中田がASローマから34億円もの高額移籍金でパルマ入団時も獲得の正式オファーを出し、競合した。ベンゲルは昨年の日韓共催W杯前も中田獲得を熱望した経緯がある。しかし、ここにきてチームの経営を圧迫する新競技場建設費が大きな障害となってきた。

 「スタジアム建設で選手を買える状況ではない」。現在のハイブリー競技場付近のアッシュバートン・グローヴに来年完成予定の新競技場は、6万人収容で総予算は366億円。補強の優先順位も英国代表GKシーマンの放出でGK、DF、左サイド、FWと設定。戦術的にもMFの必要性は皆無となった。

 「現在の欧州のデフレ市場で1500万ユーロ(約21億円)の移籍金はあり得ない。現在の市況では中田の価値は700万ユーロ(約10億円)が適正価格。それは中田の実力の問題ではない。市場の問題。パルマは現在の市況を踏まえるべき」。ベンゲルパルマ側が提示する20億円の高額移籍金も疑問視する。

 セリエAから脱出したくても、高額移籍金という冷酷な壁がそびえ立ち、移籍先が見つからない。移籍最有力先とみられていたアーセナルが手を引いたことで、中田の移籍問題は、一気に厳しいものとなってきた。